習慣

今回の健康ブロブは「習慣」についてです。

 

 

 

 

 

 

 

この絵は、画家ビーテル・ブリューゲルが1567年に描いた絵「怠け者の天国」です。

中央で寝ころがっている3人の男はなにもしていなくても食べ物が自然に口に入ってきて、何もする必要のない世界に住んでいます。

ローストされた豚とゆで卵がナイフ付きで走りまわり、ワインは口の中に自然に落ちてきます。

左奥に見える小屋の屋根はヴラーイ(丸いタルト)で葺かれ、男は口をあけて焼き鳥が飛び込んでくるのを待っています。

「怠け者の天国」は、なんの努力もなく食べ物がどんどん口に入ってくる世界がいかに愚かなものであるかを風刺した絵です。

当時、下ごしらえも調理もなしに食べられる食べ物はほとんどありませんでした。

それどころか、この絵に描かれているどの食材もふんだんにあったとは考えられません。

空腹と飢えが日常で、満腹と飽食は貴族だけの特権だったはずです。

庶民は食べること、生きることに必死でした。その時代に、人間が持つ3つの大罪、怠情と美食と大食をこんなに楽しい絵で表現してくれました。

かつては貴族だけの特権であった便利で飽食が当たり前の現代社会で自分を律するのは450年前と比べてさらに難しくなっています。

「習慣が変われば人生が変わる」

これは2500年前に古代ギリシャの哲学者アリストテレスが言った言葉です。

僕自身がこの10年自分の習慣に向き合い続けて、しみじみ響く言葉です。

習慣をどのように自分のものにするかできるかを考えて、まず皆さん自身が行動変容にトライして頂きたいと思います。

 

どのような行動も習慣になるまで、必ず以下のようなスッテプで進みます。

例えば、歯磨きをするしぐさをしてみてください。おそらく慣れたものなので、ほかの事を考えたりしながら、ほとんど無意識に歯磨きができるはずです。

これが図の④無意識に「やっている」段階です。では、次は反対の手で磨くしぐさをしてみてください。

何か違和感があるのではなでしょうか。「ちゃんと磨けているか」「毛先が届いているか」といろいろ考えて、磨いているのではないでしょうか。

これが図の中の意識的に②「知っている」から③「できる」の間の状態ということになります。

習慣を身につけるためには、①無意識の「知らない」ことを意識的に②「知っていること」③「できること」をへて、④無意識に「やっていること」へ押し上げる必要があります。

そこで、一番重要になるのが、最初の段階の①無意識の「知らない」部分です。無意識とは潜在意識です。

潜在意識は皆さんの人生の様々な経験によって構築されていて、あなたにとって「安心安全第一で働く」という特徴があります。

ですから、長い経験によって安心安全第一を優先して、形成された潜在意識は基本、「現状維持」を好みます。

習慣化を成功させるためにはこの潜在意識の安心安全の欲求を満たしながら進めることが肝心です。 

他人からのアドバイスを実行することを、頭では正しいとわかっていても、なかなか実行できないのは、この潜在意識の強烈な抵抗にあうからです。

では、どうしたら潜在意識の安心安全の欲求を満たしながら、習慣化を成功に導いていくのでしょうか。

超簡単です。なるべく苦痛の感情を作らないようにして、頑張りすぎないことです。

そして、一つのことに集中することです。複数のことを習慣化したい場合も優先順位を決めて、なるべく一つに絞って、取り掛かることが肝要です。

そして、一つの小さな成功体験を経験することで自己効力感(自分もやったらできるという感覚)が生まれ、さらなる行動変容を助けます。

また、最初の段階で最も重要なことは「成果を上げること」ではなく、「定着させること」です。

例えば、ウォーキングであれば、苦痛をともなって、なんとか毎日5キロの成果を上げるより、毎日300メートルでも楽に定着させることが一番重要です。

3か月続いて物足らなくなったら、距離を少しずつのばせばいいのです。

このように潜在意識が安心している状態をうまく維持しながら、①「無意識で知らないこと」から段階的に④「無意識にやっていること」へ潜在意識のプログラムを時間をかけて変えていきます。

そして大事なことは、無意識にできるようになるまでの過程を楽しむことです。

 

アリストテレスの言葉「習慣が変われば、人生が変わる」を思い出しながら、健康習慣を少しずつ楽しみながら、あなたの人生を、よりよい人生に変えてみましょう。

訪問歯科診療って?

 

 訪問歯科診療って?

 

訪問歯科診療って、ご存知ですか。

実は、家にいながら歯医者さんがご自宅や施設にお邪魔して、治療を受けることができます。

もちろん、保険診療です。

 

しかし、誰でも歯科のサービスを受けられるわけではありません。通院困難な理由がないと訪問歯科診療を受けることはできません。

主に、介護保険をお持ちの高齢者を対象に訪問歯科診療が実施されています。しかしながら、それほど多くの高齢者が訪問歯科診療を受けられていない現状があります。

 

歯科医院側の理由としては、訪問に行くということは、休憩時間や休日に訪問にお伺いするか、診療時間を切って訪問しないといけないですし、歯科の治療には、多くの機材や材料を持ち運ぶ必要があり、人手も必要です。

歯科は聴診器一つでは訪問に行けません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訪問歯科診療を受けられる方側の理由としては、そもそもその存在自体を知らない方も少なくないようです。

また、介護現場としては、お口のケアよりも、日々の生活にかかわる身の回りの世話や全身状態の管理など、お口よりも優先されることが多いように感じます。

 

しかし、実は今政府は歯科の訪問診療を後押しして、年々訪問診療に対する歯科医院への優遇措置を増やしています。

今年の4月に保険点数の改正がありますが、明らかに歯科訪問診療推進の意図を感じます。

政府が訪問歯科診療を歯科医院へ勧める理由は、お口の中の健康管理が様々な疾患の予防や重症化予防に大きく影響することがわかってきたからです。

 

口の機能が低下している状態を「オーラルフレイル」と呼びます。下は東京大学の飯島勝矢教授の研究です。むせ、食べ物によっての噛みづらさ、滑舌不良などのオーラルフレイル(お口の機能低下)が、栄養状態だけでなく、筋力低下(サルコペニア)や運動機能低下(ロコモティブシンドローム)と関係しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当院も訪問診療を行っていますが、訪問先で介護高齢者のお口の中を管理している間は、このようなことにあまり気づきません。

しかし、何かの理由で、訪問による口腔ケアができなくなって、しばらくしてまた、再訪問した時に、口腔機能だけでなく、身体機能、認知機能の低下に驚かされることがあります。

 

当院の訪問診療の患者さんのケースをご紹介します。

患者さんはもともと、お口の中の状態がよくなくて、ご自宅で上顎に総入れ歯、下顎に部分入れ歯を入れました。

その後は定期的にその訪問先で、口腔ケアをして、お口の中も安定していました。

ある日、家の段差につまずき、転倒されて、足を骨折されて、病院に入院されました。

その後は急性期ということもあって、その患者さんの介護の事を管理なさっているケアマネージャーさんから落ち着いたらまた連絡するとのことで、しばらく、訪問に行けずにいました。

そうすると、入院中に安静期間が長くなり、身体活動が低下するとともに、認知機能も低下したようで、精神科の病院に移られて、そこで、また骨折して再度整形外科の病院に入院することになり、自宅には戻れない状態なので、その後施設に移られました。

この後、ケアマネージャーさんからこの患者さんの事で依頼を再度受けることになりました。

この時には患者さんの正直、誰かわからないくらい、変わり果てていました。

真っ黒だった髪の毛も真っ白になり、普通に立って歩けていた方が、車いすで、斜頸(首が曲がった状態)もあり、お口も緩んで、正直「この方が○○さん?」と目を疑いました。

でもしばらく見ていると、最初の時のちょっとしたしぐさなどから、間違いなく○○さんだと、思い、声かけをしますが、全く返事がありませんでした。

お口の中を拝見すると、入れ歯が全く入ってない状態で、食事も流動食に近いもののようでした。施設の方にお願いして、前の入れ歯を持ってきてもらいました。

下の部分入れ歯は全く合いませんでしたが、上の総入れ歯は幸い何とか使えそうだったので、入れてもらうと、そのとたん顔つきが変わり、目も見開きました。その後、「○○さん」という呼びかけに「はい」と答えてくれました。

 

実は体やお口の機能が低下している介護高齢者に、いい入れ歯などで、お口の中を整えて差し上げると、言葉数が増えて、笑顔がでたり、車いすの人が立てるようになったりと数々の事例が報告されています。

 

これは日本歯科医師会の日歯TVの動画です。もしよければ、視聴してください。

車いすの人が庭いじりをできるようになる動画です

http://www.jda.or.jp/tv/01.html

 

身近で、かかりつけ歯医者のいない介護高齢者がいたら、このようなことをお伝えいただければ、幸いです。

訪問してくれる歯医者さんを見つけるには、ケアマネージャーや最寄りの地域包括ケアセンター、また大阪府歯科医師会が管理する在宅歯科ケアステーションに問合せいただくと、紹介していただけます。

詳しくはスタッフまでお申し出下さい

世界一長寿国、香港の長寿の秘訣と、日本が長寿世界一の座を取り戻す方法とは?

香港が2年連続で男女ともに平均寿命世界一となり、注目を集めています。世界有数の長寿国である日本も及びませんでした。この香港の長生きの秘訣を紐解いてみましょう。

 

香港のお年寄りの一日は公園で軽い運動に始まります。この写真は僕が友人と香港に小旅行に行った際に朝、ジョギングがてら公園に立ち寄った時に撮った写真です。車いすの人も体操していたのにはびっくりしました。軽い運動の後、お茶をしながら、会話を楽しみます。

 

また香港ではお金や保険の有無に関係なく、西側諸国と同じ水準の医療が受けられることも長寿の理由の一つと言われています。住民IDカード保持者は公立病院の一般・専門外来を50~135香港ドル(約700~約2000円)で受診でき、75歳以上の低資産者は基本医療費が無料。65歳以上の住民には年間2千香港ドルの医療チケットも配布させてます。喫煙率も15年時点で10.5%(日本:男性28.2%、女性9.0%)と低水準です。

 

 

 

さらに香港人はお年寄りを敬い、家族の絆が強いそうです。狭い土地に多くの人が暮らす人口過密都市ですが、家族の行き来には便利で、週末に一家で飲茶を楽しむ光景もよく見られます。親と別居していても親元にいつでも駆け付けられるし、親孝行もできるということです。また、お年寄り同士の友人も頻繁に会いに行くことができ、孤独を感じることも少ないそうです。

 

 

実は、人との関わりやひきこもりが特に高齢者の健康度と大きく関係していることがわかっています。香港が人口過密都市ということは、裏を返せば、不衛生で、公害、大気汚染などのリスクをはらんでいます。中国からの黄砂やPM2.5の影響を日本よりはるかに影響を受けるはずです。しかし日本をしのいで長寿世界一を達成している背景には、外的環境因子よりもいい人間関係が健康に影響を及ぼしているからだと考えます。

 

 

そして、実はかかりつけ歯科医を持つことは人間関係やひきこもりと関係があります。かかりつけ歯科医の有無と外出頻度や友人、近所付き合いを調べた研究があります。下の表のように、「外出頻度」では、かかりつけ歯科医を持つ群では、男性50.9%、女性38.2%が「ほとんど毎日外出する」と答えました。これはかかりつけ歯科医を持たない群の男性47.1%、女性30.7%を有意に上回ります。逆にめったに外出しないと答えた人はかかりつけ歯科医も持つ群では、男性4.5%、女性5.9%であるのに対して、かかりつけ歯科医を持たない群はそれを大きく上回り男性8.8%、女性15.6%という結果になりました。これはつまり、「かかりつけ歯科医も持つほど、外出頻度が高い=お出かけ好きである(ひきこもらない)」ということを示しています。

 

「友人、近所付き合い」に関しては、かかりつけ歯科医を持つ群で「ほとんど毎日」と答えた人が男性13.3%、女性14.3%に対してかかりつけ歯科医も持たない群では、男性11.1%、女性10.7%であり、これも有意差がみられました。

 

事実、下の図のようにかかりつけ歯科医を持つ群は持たない群と比べて、長生きすることもわかっています。

 

 

日本は歯科の定期健診受診率が世界的に見て低水準です。全国の歯科医院が定期健診に力を入れて、国民の歯科定期受診の関心がもっと高まれば、香港から長寿世界一の座を取り戻す日も遠くないかもしれませんね。

 

 

参考資料 香港、平均寿命世界一:福島民友(共同)2017/12/17

なぜ、「かかりつけ歯科医」のいる人は長寿なのか?:星 旦二

 

 

噛み合わせと肩こり

噛み合わせと肩こり

下顎前突群(受け口),上顎前突群(出っ歯)ともに正常の噛み合わせよりも肩こりの症状出現率が高かった.(※)

また、開咬といって、奥歯が噛んでいるのに、前歯が全然あたっていない状態で一番、肩こりが多いという報告がありました。

 

 

 

 

 

 

では、なぜ噛み合わせが悪いと、肩こりが生じるのでしょうか?

身体は筋膜といわれる帯で包み込まれているのをご存知ですか。顎の筋肉周辺から螺旋状に上から下にぐるぐると身体を覆っています。その始まりが顎の筋肉(咬筋)周辺にある筋膜です。それから、グルグルと下に降りて、肩まわりをまいて降りていき最後は足のかかとや甲を取り巻きます。

顎の筋膜は肩の筋膜と近いので、噛み合わせの異常が顎の位置異常(前後や側方の異常)につながり、肩の筋膜のたるみや張りにつながると考えられます。噛みあわせも肩こりと大いに関係があります。

 

また、悪い姿勢を続けると肩周囲で筋膜にしわができたり固まったりし、肩こりの症状を引き起こします。したがって、繰り返しになりますが、筋膜にも無理のかからない姿勢が大事です。骨盤を立てます。

 

 

顎と肩をつなぐ筋肉

胸鎖乳突筋、僧帽筋をはじめたくさんの筋肉が顎や頭蓋骨と鎖骨などに繋がっています。噛み合わせに異常があると、顎と肩をつなぐ筋肉が引っ張られたり、凝り固まったりしやすくなります。

つまり、姿勢をよくして、筋膜がたるんだり、はったりしないように心がけることが必要ということになります。また、噛み合わせをよくするには特に、幼少期に「よく噛む」癖をつけることが重要です。大人になってからは被せたり、矯正をしないとうまくいかないこともあるので、当院のスタッフに気軽に声をかけてください。

 

肩こりは頭の位置にも影響を受けます。頭の重さは約5kg程度で、ボーリングの玉くらいの重さもあります。

実は頭の向きで、頭の重さが変わります。そう、スマホ社会の現代人は肩こりのリスクが極めて高いのです。また、柔らかいもしか食べないで噛み合わせに異常をきたしやすい生活習慣はさらにリスクを増大させます。

スマホを見るときの姿勢や噛み応えのある食習慣で肩こりを卒業しませんか。

 

 

 

 

(※)原著論文 咬合と身体症状

Author松尾 直子(愛知学院大学 歯 第1口腔外科), 山下 敏康, 木下 靖朗, 他

Source 愛知学院大学歯学会誌 (0044-6912)30巻2号 Page357-365(1992.06)

肩こり

今回の健康ブログは「肩こり」についてです。

 

みなさん肩こりはありますか?

厚生労働省による平成25年の国民生活基礎調査によれば、肩こりは男性が訴える症状の第2位、女性に訴える症状の第1位であり、この傾向は年齢が高くなるほど強くなっています。

肩こりの疫学とQOLへの影響を調べた研究論文がありますが、注目したのは「肩こりがあると、自覚的な労働の大変さが誘発される」という事実です。

つまり、肩こりがあると、日々の仕事や家事がつらく感じるという事です。肩こりのある人生とない人生で、日々の労働が楽にも苦にも感じるのです。毎日ですよ!これは人生の幸福度にも大きく差が出るはずです。そこで肩こりについて少し深く考えてみます。

 

肩こりの原因は酸欠!

首や上腕の過用や長時間の同一姿勢による筋収縮のために血管が圧縮され阻血が生じ、酸欠状態になった筋肉はATPと呼ばれるエネルギーが不足します。

ATPは筋肉を緩める働きがありますが、酸欠でATPが不足すると、無意識でも収縮が続くことになります。

因みにこのATPは細胞内のミトコンドリアという細胞小器官で作られますが、あらゆる組織の中で、骨格筋に一番多く存在していて、たった一つの筋細胞に何と数千ものミトコンドリアが存在しています。

つまり、骨格筋に血液を流せば流すほど、酸素で満たされ、ミトコンドリアがATP(エネルギー)をたくさん作り、筋肉の収縮や弛緩がスムーズになり、肩こり予防に繋がります。

 

肩こりから卒業するには意識が大事!

「幸せになってやる!」という意識が大事です。冒頭でも述べたように、日々の労働が肩こり一つで、苦にも楽にもなりえます。しかし、「肩こりは友達。長く付き合くしかない」と諦めていると、日ごろの仕事や家事のつらさからも一生卒業できません。「肩こり知らずで快適生活や幸せをゲットしてやる!」という意識を持ちましょう。

では何を意識するかですが、簡単なことです。

 

 

肩こり対策

 

★姿勢を正す

具体的には骨盤を立てます。骨盤を意識することで、背骨もきれいなS字を保つことができ、頭位も体の重心に収まるので、首や肩に無理な力がかかりません。

血のめぐりもよくなるので、筋肉にたくさん酸素が送られて、ATPというエネルギーがたくさん作られて、筋肉の収縮や弛緩もスムーズになり、肩こりの予防になります。背伸びをするとさらにたくさん血液が骨格筋に送られ、効果絶大です。

 

 

★自律神経(交感神経と副交感神経)を整える

交感神経を使いすぎると血管が収縮して、酸欠が進みます。自律神経を整える方法も簡単です。

①口を閉じる(鼻呼吸を促す)

②よく噛む(箸置き)

③早寝早起き(太陽の光を浴びる)

※睡眠時間が短いことが重度肩こりの危険因子であることも示唆されています

 

どうですか、座骨を立てて、背筋を伸ばして、そして自律神経を整えて、肩こり知らずの生活を送ってみませんか。

次回は肩こりと噛み合わせの関係についてです。

参考文献 厚生労働省:平成25年度国民生活基礎調査

「肩こりの疫学とQOLの影響」整・災外58851-858 2015 大谷 晃司 矢吹 省司

「肩こりと自律神経の関係」整・災外58883-858 2015 城 由起子 松原 貴子

 

不慮の事故

日本人の死因別死亡数の順位はがん、心疾患、肺炎、脳血管疾患となっています。実はその次の第五位は「不慮の事故」です。厚生労働省は「平成21年度『不慮の事故死亡統計』の概況」という発表のなかで、「主な不慮の事故の種類別にみた死亡数の年次推移」を公表しています。

主な不慮の事故の種類別にみた死亡数の年次推移

厚生労働省「平成21年度『不慮の事故死亡統計』の概況」よりそれによると、1995年から2008年までの13年間でも、交通事故による死亡数は1万5,147人から、7,499人へと半分ほどに減っています。いっぽうで、交通事故を超えて、不慮の事故ナンバーワンになったのが「窒息」です。これはおもに食べものをのどに詰まらせてしまい、息がふさがることを指しているようです。

 

 

 

 

 

第3位につけているのは転倒・転落。これからの日本では、高齢者がさらに多くなるため、転倒や転落といった不慮の事故が増えていくことでしょう。65歳以上の高齢者は、転倒骨折により入院で体力低下を余儀なくされ、1年以内に15%以上の方が、5年以内にはなんと50%以上の方が、お亡くなりになっています。窒息や転倒骨折は死亡事故につながらなくても、その後のQOLを著しく低下させます。

 

 

 

そこで、今回は窒息と転倒骨折の予防をお口の中から考えます。

まず、誤嚥、窒息ですが、そのリスクの高い症例の多くは摂食嚥下障害を呈しています。つまり、普段から、のみ見込みが悪かったり、むせが多いと窒息する危険性が高まります。摂食嚥下障害を予防する方法は以下のものがあります。

姿勢調整法・・・頭部前屈位、頸部旋回、リクライニング位

口腔咽頭刺激法・・・アイスマッサージ、味覚刺激法

嚥下訓練法・・・メンデルソン法、頭部挙上訓練

そして、当院の一押しは何といっても箸置き!食事中に口の中が空になるまで、箸を置いて、食べ物を入れないようにして、結果的に多咀嚼を促します。一番、シンプルで効果的な口腔機能のリハビリです。今日から食事を楽しみながら始めてみましょう!

また、要介護高齢者での窒息事故を引き起こす危険因子を危険度の高い順にあげると、食事の自立、臼歯部(奥歯)の噛み合わせの喪失、認知機能の低下です。とりわけ、青年期、壮年期に奥歯の噛み合わせがないと、嚥下機能の予備脳が低下することが報告されており、将来の誤嚥、窒息事故のリスクが高まります。

次に転倒骨折ですが、60 歳を過ぎると開眼片足立ち(目を開けて、片足で何秒立つことができるか)は急激に減少し,5 秒以内の者は転倒ハイリスク者とされています。歯を多く喪失していて、噛み合わせに不調のある人の開眼片足立ちの実験を行ったところ、男性、女性ともに平均20秒も立てなかったのが、噛み合わせを回復することで、開眼片足立ちで男性、女性ともに大幅に改善したとの報告があります。このことから特に高齢者では噛み合わせの不調は体全体のバランスを壊し、転倒骨折の大きなリスク因子になることを示唆しています。

 

 

 

今回、日本での死因第5位の「不慮の事故」について、お口の中から考えましたが、上記のように、これは決して「不慮の事故」ではありません。窒息や転倒骨折は口腔の予防などにより防ぐことができる事故です。もうお分かりですよね。窒息と転倒予防には「箸置きを置いて、よく噛んで、奥歯の噛み合わせを整えること」です。

参考文献

ズバリ!生命保険「『不慮の事故』とはどんな事故?」

厚生労働省「平成21年度『不慮の事故死亡統計』の概況

園田隆紹:日本口腔インプラント誌 第28巻4号

身体的虚弱(高齢者)理学療法診療ガイドライン

病は夜つくられる☁☽☁

 

「単位人口当たりの医師数が多く、年間医療費が高い自治体ほど健康寿命が短い!」

2012年6月に厚生労働省から我が国初の健康寿命のデータが公開されました。茨城県立こころの医療センター病院長の土井永史病院長はこの2012年のデータをもとに、各都道府県別で、健康寿命に対して、一人当たりの年間医療費や10万人当たりの医師数を調べました。その結果、驚いたことに、医療費が高く、医者が多い都道府県では、健康寿命が短く、逆に医療費が低く、医者が少ない都道府県では健康寿命が長かったのです。土井医師は「『現在の医療の平均的効果を長い目で見た場合、かえって国民の健康を損ねている』という可能性を示す。」としています。

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「ありふれた病」と「万病の素」

高血圧、糖尿病、心筋梗塞、精神疾患など、私たちが気づくような「ありふれた病」の陰に「万病の素」となる病が潜んでいます。土井医師はそれが「睡眠障害」だとしています。普段の生活習慣が皆さんの健康状態に大きく影響を及ぼします。睡眠障害の代表的なものが睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。これは睡眠中に10秒以上の無呼吸や血中酸素濃度低下を伴う浅い呼吸が頻回に生じる病態です。SASの罹患者数は300万人と推定され、それ以外の睡眠障害を入れるとかなりの数になります。実は、自分の睡眠障害を気付かずにやり過ごしている人が多くいます。本物の上質うどんを味わったことがない人は、本物のうどんがどんなものかわからないように、もとから、質のいい睡眠を経験したことがない人は、自分が睡眠障害だと気づきません。気づかずにほっておくと、寝ているときに、本来リラックスしたり休んでいるときに働く、副交感神経があまり働かず、寝ている間も、活動的な状態で働く交感神経が優位になり、血圧が上がりやすくなったり、日中にイライラしたり、疲れやすかったりと様々な問題が現れます。原因がわからない本態性高血圧と診断され薬をのみ続けても、血圧はさがりません。睡眠障害で交感神経が慢性的に優位に働いているからです。実際、土井医師によると、いい睡眠をとれる治療を施すことで、すぐに血圧が正常に戻る症例が多くあるようです。お子様の多動障害ADHDも睡眠障害がかかわっているといわれています。図のように様々な病気とSASの合併率をみると、様々な病気が睡眠障害と関わっていることが示唆されます。私たちはありふれた病の陰に睡眠障害のような「万病の素」があることを疑わなくてはなりません。この「万病の素」をたたない限りいくら医者にかかっても健康寿命を延ばすのは困難になります。

 

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睡眠障害を疑うリスク因子

筋力低下、肥満、鼻づまり、お酒、面長な顔貌、小下顎です。

心当たりがある人は、睡眠外来で相談されるほうがいいと思います。睡眠外来に行けば、睡眠検査(睡眠ポリグラフなど)で、自分の睡眠の質を測ることができます。

 

 

歯科は睡眠障害を早期発見できる場所!

歯科はあらゆる世代が頻回に通所する医療機関です。しかも、お口の中をじっくり観察して、下顎の後退の有無、軟口蓋・舌の高さなど上気道の状態を評価できる場所です。歯科はマウスピースや歯列拡大矯正などで、睡眠障害の治療を提供できる場所でもあります。(詳しくはスタッフまで)

 

 

医科歯科連携で

実は、睡眠障害はお口と多くのことがかかわっているにも関わらず、歯科では診断も直接の治療もできません。まして私たちは大学教育でも教わっていませんでした。ですから、歯科で早期に睡眠障害を発見して、医科で診断していただいて、潜在的な患者を助け、万病の素を断ち、健康寿命延伸に貢献できるものと考えます。

 

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上記にあるような睡眠障害のリスク因子に心当たりがある人は、当院か最寄りの耳鼻科や睡眠外来に相談してみてはいかがですか。なお、睡眠時無呼吸用のマウスピースは歯科医院で保険(3割負担で7~8千円)で作成しますが、睡眠外来などの紹介状がなければ作成できません。なので、いずれにせよ、心当たりがあれば、まずは睡眠外来で睡眠の質を測ってもらうことをお勧めします(^^)
「恒志会会報 平成29年度 Vol.12」より

「歯並びから見てとれる顔やのどの形、そしてそれに付随する病気(喘息、アトピー、風邪など)」

普段からお口がポカンと開いていると、顎や顔の形が変わったり、歯並びが悪くなったりします。また鼻の穴が狭くなって鼻で息がしにくくなったりします。それにともなって口がさらに開きやすくなって、風邪、アトピー、喘息などの原因になります。(特にお子様)口ポカン

以下は関連する論文です。

 

 

・喘息の小児の不正咬合の実態

結論:かみ合わせにずれがある人ほど口呼吸や異常な顔面のタイプが多かった。Venetikidou A,J Clin Pediatr Dent 1993 Winter;17(2):89-94.

交叉

 

 

・アレルギー性鼻炎の口蓋

結論:アレルギー性鼻炎の子供の口蓋は深く、かみ合わせのずれも多い。口呼吸の子供は顔がおも長になって、鼻の通りが悪くなる。おも

Ghasempour Maryam,Iranian Journal of Allergy,Asthma and Immunology 2009 ;8(1):63-64口蓋の深さ

 

 

・喘息と吸入ステロイドの子供の歯列弓形態への影響

結論:喘息の子供は歯並びが狭く、混雑していた。

SS Kumar,Nandlal,J Indian Soc Pedod Prev Dent 2012 Jul-Sep;30(3):242-9歯並び

 

 

 

・気管支喘息の3D上気道評価

結論:気管支喘息の原因として上気道と口腔咽頭(のど)が狭いことが関与している。

Bandeira AM,Angle Orthod 2014;84:254-259鼻咽腔など2

 

 

・発育パターンの違いによる気道と頭位

結論:おも長の人は上顎と下顎が後退して気道(鼻咽頭腔、口腔咽頭腔)が狭かった。

Ansar J,Angle Orthod 2015;85:604-610

 

 

 

・咽頭気道と顔面骨格の関連性

結論:出っ歯の人は受け口の人と比べて、のど(咽頭腔)が小さく狭かった。

Claudino LV,Am Orthod Dentofacial Orthop 2013 Jun;143(6):799-809.

 

 

 

今日からお口ポカンを卒業してお口を閉じて、風邪、アトピー、喘息に負けないお口にしませんか?(特にお子様)

歩行の効果②

 

 

 

 

 

 

こんにちは!

今回は前回の続きで「歩行の効果」についてです

 

①2足歩行によってサルの骨格形状に変化

 

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これは、猿まわしの訓練を受けたニホンザルの全身骨格です。

猿まわしのサルは、芸を覚えさせる前に、2足歩行の訓練から始めます。

2足歩行ができるようになると、凶暴性が消えて表情も穏やかになり、従順になって芸を覚えやすくなるそうです。

サルの脳に変化が現れたとみられます。

また、骨格形状を見ると、下肢の形は違いますが、背骨の形は人間とほとんど同じになっています。

野生のサルには見られない正常姿勢、ヒトに見られるS字カーブが形成されているのがわかります。

1種1代でここまで骨格形状が変わるのです。

普段のなにげない姿勢や歩行の習慣がいかに大事かわかりますね。

 

 

②骨格筋のポンプ機能

歩くときに重要な筋肉に腓腹筋というのがあります。いわゆるふくらはぎの筋肉です。

この腓腹筋の形を見ると、細長いハート形をしています。心臓と同じです。

 

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下が尖っていて、上が広がっています。これを形状特性ポンプといいまして、形自体がポンプの機能を持っています

底の尖ったコップに水を注ぐと、上のほうにシュッと跳ね上がってきます。

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これが形状特性ポンプです。

人間の体にある骨格筋は、ほとんどが形状特性ポンプです。

歩行などの動作で筋肉が収縮することによって、血液を心臓のほうへどんどん送り揚げているわけです。

この仕組みによって、血液循環がスムーズに行われているのです。

これが、ふくらはぎが「第二の心臓」といわれるゆえんです。

 

 

③骨の形成と造血の仕組み

足が地面について骨に圧がかかったとき、骨から電子が飛び出してマイナスの電荷になります。体内のカルシウムのプラスイオンが引き寄せられ骨にくっつき、圧がかからないときは離れるが繰り返されカルシウムが蓄積し骨が形成されていきます。これを骨ピエゾ効果といいます。

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また、骨髄が入っている容積は、圧がかかると狭まり、圧がかからないと広がります。

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骨髄の中には造血幹細胞があり、ここで血液(赤血球や白血球)が造られます。

赤血球は圧力が低くなるときに造られ、圧力が高くなるとできません。

白血球にはウイルスのような極めて小さい微生物をやっつけるリンパ球、バクテリアを食べてしまう顆粒球、リンパ球に指令を送る単球(マクロファージ)があります。

顆粒球と単球は圧力が高くなると造られ、リンパ球は圧力が低くなると造られます。

つまり、歩いているときには顆粒球と単球が造られ、寝ているときに赤血球とリンパ球が造られる。

白血球に占める割合は、顆粒球と単球が3分の2でリンパ球が3分の1ですから、活動時間と睡眠時間の比率に一致しています。

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歩くことは、コツコツ少しずつ貯金をしているのと同じです。命の貯金です。

普段から歩いている人とそうでない人は、歳をとってから大きな差が出てきます。

歩いている人は本当に元気です。みなさん普段から歩く習慣をつけましょう。

 

参考著書   「歩行」と「脳」~生きる力と心もよう~ 吉田勧持

 

 

歩行の効果について

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは!

今回の健康ブログは「歩行の効果」についてです

 

 

①歩く速度

 

歩く速度によって、歩行が呼吸循環器系、運動支持系、消化器系、泌尿器系、自律神経系に非常に効果のあることがわかっています。

 

 

一生理歩行

緩やかな歩調

消化器系の機能増進に効果があり、精神安定効果もあります

最も基本的な歩行です

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第二生理歩行

速歩

運動支持系の機能が増進します。

筋力、骨強度、関節潤滑が高まり、気力、活力が充実します。

普段あまり歩いてない人は、基礎的な第一生理歩行から入り、徐々に歩幅を広げ速度を上げるようにしましょう。

 

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呼吸循環器系歩行

やや速歩

呼吸循環器系の機能回復・増進に効果があります。

 

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泌尿器系歩行

平常歩行

泌尿器系の機能回復・増進に効果があります

 

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②歩く時間

 

生理歩行の時間は基本的に約40分としています。

これは歩行時間が30分を超えないと、これまで説明した効果がほとんどみられず、40分を超えると疲労を感じる人が増え、かえって生理性を失うからです。

朝夕の通勤で20分、仕事で20分の計40分歩いたからいいというものではありません

1回の歩行で継続して40分歩かなければ、効果は期待できません。

そして、できるだけ毎日歩くことが大切です。

 

次の健康ブログは歩行が骨や筋肉に与える効果についてです

 

参考著書 「歩行」と「脳」~生きる力と心もよう~  吉田歓持

 

 

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